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オペラ映画/ラ・ボエーム
 
** 登場人物 **
ミミ(お針子)/ロドルフォ(詩人)/ムゼッタ(マルチェロの元恋人)/マルチェロ(画家)/ショナール(音楽家)/コルリーネ(哲学者)

【見どころ】 クリスマス・イブ、パリの下町を舞台に・・・
プッチーニが自らの帰らざる青春の日々へ、愛惜の思いを込めて書いたロマンティックで叙情溢れる傑作オペラです。
ミミ役には、モデナ出身で本作品に出演したときは29歳、まさに適役のミレッラ・フレーニ。お相手のロドルフォ役には、ボローニャ生まれで、1960年代後半から70年代前半にかけて“ラ・スカラ”を代表する歌手として君臨したジャンニ・ライモンディ。そして演出には、マリア・カラスの「椿姫」を手がけて輝かしいキャリアを駆け上り始めた、フィレンツェ出身のフランコ・ゼッフィレッリと、イタリアオペラ界とカラヤンがタッグを組み、総力を結集して作り上げた作品と言えます。

【STORY・・・ものがたり】
舞台は1830年頃のパリ。アパートの屋根裏部屋で、ボヘミアンと呼ばれる売れない芸術家、詩人のロドルフォと画家のマルチェロは、ひとつの部屋を共有しています。今日はクリスマス・イブの夜。友人の哲学者コルリーネも金策がつかず手ぶらで部屋に現れますが、音楽家ショナールが大変なお土産を持ってやってきます。ショナールがたまたま稼いできたお金で4人は街に繰り出そうと意気投合しますが、ロドルフォだけは原稿を仕上げてから行くことになり、ほかの3人は先に出ていきます。
そこへ、ロウソクの火をもらいに隣人のお針子ミミがやって来ます、しかし彼女は階段を急いで上ってきたため、目まいを起こし倒れてしまいます。困惑するロドルフォでしたが、やがて彼女は火を借りて帰っていきます。ところが、さっき倒れたときに部屋の鍵を無くしてしまったらしく探そうとする間にろうそくの火が消えてしまい、風でロドルフォのロウソクも消えてしまいます。暗闇の中、手探りで鍵を探す二人の手がふれあい、二人は恋に落ちたのでした。

クリスマス・イヴで賑わうパリ。ロドルフォとミミは街を仲良く歩き回り、ロドルフォはばら色の帽子をプレゼントします。ロドルフォは、カフェ・モミュスで先に愉しんでいた仲間3人にミミを紹介します。そこへ画家マルチェロのかつての恋人ムゼッタが現れます。貧乏画家よりも年寄りの金持ちを選んだムゼッタですが、彼女を無視するマルチェロの態度に腹を立て大騒ぎを始めます。それがよりを戻したいというムゼッタのメッセージであることを悟ったマルチェロは喜びとともに彼女を抱きしめ、よりを戻します。そして、4人のボヘミアンと2人の娘は、ムゼッタのパトロンだった男に勘定を押しつけて、笑って帰宅したのでした。

年は明けて、2月。マルチェロとムゼッタが働く酒場に、ミミが訪れます。マルチェロを呼び出した彼女は、恋人ロドルフォとの生活がうまくいかないと涙ながらに訴えるのでした。ミミが帰った後、前の晩からマルチェロのいる居酒屋に泊まっていたロドルフォが部屋から出てきて、彼女と別れること告げます。本当の理由を問い詰めるマルチェロに、ロドルフォは「ミミは病気なんだ」と言います。貧しい屋根裏の暮らしでは薬を買うことも出来ません。激しい咳がミミの胸を蝕んでいくのを見ていられないと言うのです。その時、ミミの悲しげなすすり泣きが聞えます。彼女は帰ったふりをして二人の会話を聞いていたのです。病気のことを認識していなかった彼女には今の話はあまりにショックでした。ミミがいるのに気づいたロドルフォは彼女に駆け寄り、二人は愛を確かめ合いながらも、お互いのために別れる決心をしました。一方のマルチェロも浮気の多いムゼッタと激しく罵りあい、二人はついに別れてしまいます。

相変わらずロドルフォとマルチェロは貧しいけれど屋根裏部屋で、創作活動をしながら暮らしています。しかし心は上の空。二人とも別れた恋人のことが忘れられないでいるのです。昼時に、コルリーネとショナールがパンを買って現れます。寂しい食卓ではありますが、一同は王族貴族になったつもりでふざけ始めます。やれ舞踏会だ、やれ決闘だとはしゃぎ始めるのでした。
そこへ、ムゼッタが瀕死のミミを連れて駆け込んできます。ミミは愛するロドルフォの元で最期を迎えたいと望んだのでした。ミミのために何かしてやりたくても、貧しい仲間たちは温かい飲み物の一杯も用意することが出来ません。ムゼッタは自分の耳飾りを売るようにマルチェロに託し、手を暖めるためのマフを取ってくることにします。コルリーネはあのクリスマス・イヴの晩に買った外套を売ることに決意します。何も売るものの無いショナールは、久しぶりに会った恋人たちを二人きりにしてやるためにそっと部屋を出ていきます。
二人きりになったミミとロドルフォは激しく抱きあい、愛の思い出に浸ります。そして、みんなの帰りを待っていたかのようにミミは静かに息を引き取ります。部屋にはミミの名前を叫ぶロドルフォの声がこだましたのでした。

【INTRODUCTION・・・解説】
『ラ・ボエーム』とは、「ボヘミアン」のことです。1830年当時のパリには、貧しいけれど希望を胸に生き生きと過ごしている芸術家の卵がたくさんいました。そんなボヘミアンの日常的な風景を、このオペラは描き出しています。作曲したプッチーニも20代で故郷ルッカからミラノに出て、苦学に励んでいたことから、このオペラに特別な愛着があったと言われています。

このオペラの見どころは何と言っても、ロドルフォとミミが恋に落ちるシーンです。暗闇の中、先に鍵を拾ったロドルフォは、それをポケットに入れ、再び鍵を探すふりをして、ミミの手を握ります。このときロドルフォが「冷たい手を」歌いを、続けてミミが「私の名はミミ」のアリアを歌って、二人は惹かれ合い、恋に落ちます。
そして、最後ミミが仲間に見守られながら死んでいくシーン。ロドルフォは、仲間の顔を見て「なんでそんな顔をしてるんだ?」「どうして俺のことを見るんだ?」と思います。そして、はじめてミミが息を引き取ったことに気づくのです。最期にロドルフォがミミの名を2回叫びます。この劇的な幕切れは、多くの人の涙を誘うことでしょう。

1965年製作のオペラ映画で、前年4月にスカラ座で大当たりをとった公演で使用された実際の装置、衣裳を使って撮影されたものです。
監督は、前年の公演での演出と同じくフランコ・ゼッフィレッリが担当。巨匠ルキノ・ヴィスコンティの助手として映画とオペラ演出双方のノウハウを修得、現代イタリアを代表する映画監督、オペラ演出家である彼にとって指折りのヒット・プロダクションでもある『ボエーム』を、ここではオペラ映画の利点を駆使して、さらに丹念なリアリズム演出できめ細やかに仕上げているあたりが見ものです。

キャストは、声も容姿も初々しいミレッラ・フレーニ。ミミ役はフレーニの十八番です。ロドルフォ役は、「その高音の輝きはパヴァロッティ以上」とも評される天才ジャンニ・ライモンディ。マルチェッロ役のローランド・パネライは、この役はもうこの人以外考えられないと思わせる見事さです。往年の名バス、イーヴォ・ヴィンコの重厚なコルリーネ役も聴きものです。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮もとミラノ・スカラ座管弦楽団による演奏は格別です。カラヤンは後年ベルリン・フィルと同オペラをレコーディングしますが、ここでのスカラ座の俊敏さとカンタービレの魅力は別格といえるでしょう。オペラ史上かけがえのない逸品です。

【CAST&STAFF】
出演:
ミミ(お針子)‥‥‥ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)
   ロドルフォ(詩人)‥‥‥ジャンニ・ライモンディ(テノール)
   ムゼッタ(マルチェロの元恋人) ‥‥‥アドリアーナ・マルティーノ(ソプラノ)
   マルチェロ(画家)‥‥‥ローランド・パネライ(バリトン)
   ショナール(音楽家)‥‥‥ジャンニ・マッフィオ(バリトン)
   コルリーネ(哲学者)‥‥‥イーヴォ・ヴィンコ(バス)
   ブノア(家主)‥‥‥カルロ・バディオリ(バス)
   アルチンドロ(枢密顧問官)‥‥‥カルロ・バディオリ(バス)
   パルピニョール‥‥‥フランコ・リッチャルディ(テノール)
   巡査部長‥‥‥ジュゼッペ・モレーシ(バリトン)
   税関吏‥‥‥カルフ・フォルティ(バリトン)
   果物売り‥‥‥アンジェロ・メルクリアーリ(テノール)

作曲:ジャコモ・プッチーニ
原作:アンリ・ミュルジェ 小説『ボヘミアンたちの生活情景』
演出・舞台装置フランコ・ゼッフィレッリ
指揮・芸術監督ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏:ミラノ・スカラ座管弦楽団
合唱:ミラノ・スカラ座合唱団
合唱指揮:ロベルト・ベナーリオ
装置:ポール・ハフラング
衣裳:マルセル・エスコッフィアー
映像:ヴェルナー・クリーン
録音:キュンター・ヘルマンス

主なアリア/冷たい手を 私の名はミミ ムゼッタのワルツ 他

1965年製作/ドイツ映画/イタリア語版(日本語字幕スーパー)
1時間45分/カラー/スタンダ-ド・サイズ/ステレオ/デジタル上映
提供:ユニテル 配給:株式会社ティアンドケイテレフィルム

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