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アニメーション映画/グスコーブドリの伝記
 
宮沢賢治

宮沢賢治は、明治29年(1896年)岩手県花巻市で生まれました。賢治は盛岡高等農林学校卒業後、花巻農学校の教師として農村子弟の教育にあたり、多くの詩や童話の創作を続け、30歳の時に農学校を退職、独居生活に入ります。ここで羅須地人協会を開き、農民講座を開設し、青年たちに農業を指導しました。その後、2度病に倒れ、昭和8年(1933年)9月21日、37歳の若さで永眠しました。

賢治と汽車の風景

松本零士さん(漫画家)

子どもの頃、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を、ラジオの放送劇で聞いたのと、学校で影絵になったのを見ました。これが賢治との出合いでした。とくに放送劇は、音だけですから、猛烈に想像力をかきたてられて、そこから本を読んだのです。
宮沢賢治の本は「銀河鉄道の夜」でも「グスコーブドリの伝記」でも、記述の一つ一つ、一行一行の行間に感覚的でありながら科学的表現にあふれています。それを読むと科学的雰囲気にひたりきれる満足感を味わえるし、きわめて激しく少年の夢をかきたてるんですね。
賢治の作品は、全体に上質でまじめで少年に真剣に受けとめられる要素が強くて少年向きなんです。
じつは、ぼくの育った家の前が国鉄の線路で、昼も夜も汽車が走ってくるんです。
とくに夜、過熱したカマから火花をまき散らし、蒸気を吹き出して、揺れながら邁進してくる汽車は魔王が迫ってくるようなすさまじい感じでした。その線路は東京につながっていて、走り去っていく汽車を見送っていると、空に舞い上がっていくように見えたものです。
そのころ、天文学者の荒木俊馬という人の書いた「大宇宙の旅」という本に夢中になていましてね。光の女神が宇宙を案内してくれるんです。こういうものが、みんなゴチャゴチャになって自分自身の旅立ち物語として、「銀河鉄道999」になっていったのです。あそこでアンドロメダに行くというのは、ミヤコ、東京にいくという子どものころの僕のあこがれを描いたものなんです。
「グスコーブドリの伝記」がアニメーションになるというので、火山とか、人工降雨機とかが、どのように表現されているのか、楽しみにしています。(談)

文部省選定

【ものがたり】
木こりの子どもグスコーブドリは妹のネリと父と母の家族4人で幸せな生活を送っていました。
ある年、冷害が襲い飢餓にみまわれ、父と母は幼い二人を残して家を出て行ってしまい、妹のネリも人さらいにつれさられてしまいた。
残されたブドリは一人で生きていかなければなりません。ブドリは、生きていくために森の「てぐす工場」で働きはじめますが「てぐす飼い」の男に苛酷な労働を強いられます。
そんなある日、大きな大地震がおこりました。火山が火をふき、灰がふりつもり、「てぐす工場」は、つぶれてしまいました。
しかたなく森をでたブドリは、「沼ばたけ」の赤鬚の百姓のところで仕事をさせてもらうことになりました。毎年毎年ブドリはオリザの苗を育てつづけます。
ところが、ある年オリザに病気がでて全滅してしまいました。ブドリは、クーボー博士の書いた本で勉強し、オリザの病気の駆除に成功します。
しかし、また冷害とかんばつが続きブドリは「沼ばたけ」をあとにしなければなりませんでした。
ブドリはクーポー博士をたずねて、イーハートーブの町に向かいます。そして博士の紹介で火山局で仕事をすることになりました。
火山活動の調査や観測をし、火山を科学的に利用して農業にやくだてる仕事がブドリの生きがいとなります。

    

【かいせつ】
すでに広く知られているように、宮沢賢治の作品は、ヒューマニズムにあふれた透明度の高いものとして評価も定着しています。独特のロマンと雄大な世界をもつ賢治の童話は、日本文学の中でもきわだった光を放っています。
「グスコーブドリ」の伝記は1932年(昭和7年)賢治は36才の時に発表した最晩年作品の同名の映画化です。苛酷な自然とのたたかい、厳しい人間世界の中をたくましく生き抜いたブドリの姿は、殺伐とした日常に流されがちな子どもたち、生きている意味を見失いがちになる私たちに、人生の意味を静かに深く語りかけてくれます。
原作は、賢治の「あり得べかりし自叙伝」といわれています。貧しい農民のため農事指導や肥料設計に夢中になって奉仕した賢治像と、ブドリの生き方がダブってくるからでしょう。
映画は、宮沢賢治没後60年(1993年)、生誕100年(1996年)を記念して企画製作されたものです。
オリジナルキャラクター・脚本・監督は、テレビ、劇場アニメと活躍している新進気鋭の中村隆太郎氏。音楽は、NHK大河ドラマ「炎立つ」の音楽を担当した菅野由弘氏。

    

【スタッフ】

原作:宮沢賢治   監督・脚本:中村隆太郎  企画:鳥居明夫・鹿本鬼助 プロデューサー:石川 博・久保田正明・名嘉邦男  作画監督:鈴木信一
美術監督:荒井和浩 色設定:山名公枝 撮影監督:高橋明彦 音楽:菅野由弘 録音:斯波重治 アニメーション制作:(有)あにまる屋
副音声脚本:西田隆一 アイパートナー(副音声):小野塚貴志

バリアフリー対応作品(音声ガイド・字幕スーパー付)
カラー・スタンダード・85分


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